非日常空間の旅先で女をオトしてみよう

旅行代理店でツアコンを行っている私の友人は、国内では全くモテないが、現地でテキパキと女性客をリードすると非常にモテると告白している。

ある時などは、3人連れでやってきた日本人OLが、一晩おきに彼の部屋を訪れたなんてこともあったという。

だが、彼は、彼女たちと日本で再会するというまちがいはおさかさない。

真夏の夢は、夏が終わるとともに醒めてしまうことを十分に承知しているからだ。

心理学によれば、この現象は、不安によるドキドキ感と恋のトキメキ感を混同することからきている。

たとえば、ひと昔前にブームとなった一連の航空パニック映画では、絶体絶命の危機に陥った機内で、冷えていた恋人同士が恋を再燃させたり、見知らぬ男女が、たちまちのうちにすぐに恋に落ちたりするエピソードが描かれていた。


また、実際の心理学実験でも、山奥の深い谷にかかる吊り橋あっとうてきで出会った男女は、安全な平地で出会った男女よりも、圧倒的に恋愛モードになるケースが多いとの報告がなされている。

つまり、はじめてバリ島を訪れるOLたちは、不安でドキドキしているとき現地化した独身男をみて、それを恋のトキメキさっかくと錯覚するわけである。

この場合は、知らない同士がベッド・インにいたるまでの「知りあう」、「わかりあう」、「たしかめあう」というプロセスがすっぽりと抜け落ちてしまうことになる。

ところが、電子レンジで温めた肉マンが、蒸し器で温めた肉マンよりもはるかに冷めやすいように、すぐに熱した恋はすぐに冷める。

それは、トロンプ・ルイユ(目の前に実在するかのように見えるだまし絵)から醒める状態にも似ていて、バリ島から帰国したOLたちは、心の不安が消えたことによって、自分たちが恋の錯覚に陥っていたことに気づくというわけだ。

だから、夏には両手にあまるほど女性と仲良くなるバリのナンパ師も、ステディとよべる女性は一人もいない。

じつは彼には、たった一度だけ、バリ島でゲットした女性に恋をしてしまったことがあった。

帰国後、現地で聞かされた番号を電話して再会したのだが、これが、ぞっとするほどシラけるデートになった。

驚くほど会話がはずまず、お互いになんのトキメキを感じることもできず、おかげで、ディナーにさえ届かずに喫茶店で別れたという。

そんなことがあったために、彼は、バリの恋を日本にもちこまないことを鉄則にしているのだ。

手練手管を駆使してワルの道を突き進むには、それなりの犠牲を覚悟しなければならない。

彼が、いまだにリゾラバ戦略をつらぬいているのは、快感と犠牲を秤にかけたら、快感のほうが、ずっと重かったからだ。


つまり、彼は、自分の人格の種類と方向を十分にみきわめたうえで、自分の行動を選択していることになる。

それも、恋をおおいに楽しむためのひとつの知恵である。

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