エクスタシーという幻覚剤が恋愛を加速させる

心理学者リーボウイッツは、恋愛感情が生じるための基本的な要素として、

  • [point_m color=”red” no=”1″] 魅力[/point_m] [point_m color=”red” no=”2″] 愛着[/point_m] [point_m color=”red” no=”3″] エクスタシー[/point_m]

の三つを挙げている。

①の「魅力」とは、性的な魅力のことで、これはまあ当然といっていいだろう。

男でも女でも、相手を好きになるときは、容姿や声、仕草など、相手のどこかに性的な魅力を感じているもので、魅力のない相手にたいしては、心はなにも動かないし、相手を手に入れようとも思わない。

つまり、相手に魅力を感じることが、すべての恋愛の出発点になる。


②の「愛着」とは、魅力ある相手を現実的な存在としてとらえ、自分のものにしたいという感情である。
「現実的な存在」とは、「手が届く存在」といいかえてもいい。


たとえば、とても魅力的なアイドル歌手がデビューして、そのファンになったとしても、ふつうファンは、その歌手を自分だけのものにすることができない。

つまり、この場合は、片思いがせいぜいで、本当の恋愛に発展することは、ストーカー的な男でもないかぎり、まずない。

③の「エクスタシー」とは、性的な絶頂感だ。

魅力を感じ、愛着をおぼえれば、そのつぎの段階として、相手と熱烈に結ばれたいと思うようになる。

その到達点が、エクスタシーというわけで、だれしも恋に浮かされているときは、そのエクスタシーを想像してしまうものだ。

リーボウイッツによれば、この三つのうちのどれかひとつが欠けても、真の恋愛感情は生まれないというが、彼の仮説がユニークなのは、じつはここからである。

リーボウイッツは、魅力、愛着、エクスタシーの三つの要素を、それぞれ覚醒剤、麻薬、幻覚剤を服用したときの状態と、よく似ているというのだ。


まず、人が異性にたいして魅力を感じている状態は、アンフェタミンという覚醒剤を服用したときの状態と、よく似ているという。
アンフェタミンには、人間の快感中枢を刺激して、快感を感じやすくし、男性の場合は精力を増強させ、さらにバラ色の未来を思い描かせる効果があるが、相手に熱をあげているとき、人の脳では、アンフェタミンに似た脳内化学物質が盛んに分泌(ぶんぴつ) されているというのだ。


つぎの「愛着」は、脳内にある麻薬物質エルドルフィンによってもたらされるという。

エルドルフィンは本来、不安をやわらげる効果があるが、なるほど異性に愛着を感じているあいだ、人は孤独でいることの不安から逃(のが) れることができる。

最後の「エクスタシー」をもたらしてくれるのは、幻覚剤だ。

幻覚剤を服用した人間は、自分と外界との境界線がなくなり、自分と周囲が一体となったような陶酔感(とうすいかん) を味わうが、これはまさにセックスのときの絶頂感と同じである。

というわけで、リーボウイッツは、「恋愛感情は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい) の神経化学回路から生まれる可能性が高い」と結論づけている。

この仮説が本当なら、覚醒剤と麻薬と幻覚剤をカプセルにして飲めば、たちまちのうちに恋が芽生え、恋が芽生えたと思うまもなく、エクスタシーに達してしまう … …なんて芸当もできてしまいそう。


もっとも、そんなプロセスのない恋なんて、どこが楽しいの? という人も、たくさんいそうだが。

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