風俗嬢が最も嫌悪する男性のタイプNo.1は?

「椿姫」はアルマンという青年が絶世の美女と言われた娼婦であるマルグリッドに恋する物語だ。

アルマンはマルグリッドを思いながらこのように独白した。

「彼女は堕落した生き方をしていましたが、その心は天使のように清らかでした。たぶん、彼女は、自分の本当の意思からではなく、ふとしたはずみで娼婦になってしまったのです。ならば、またべつのはずみがあれば、彼女は、娼婦から清らかな天使に逆もどりできるであろうと。私には、そう思えてならなかった。」

ちょっと考えると、美しい言葉にも思えるが、娼婦からすれば、これほどメーワクな思いこみはないだろう。

娼婦たちの、こんな声が聞こえてきそうだ。

『まず、「堕落」というよび方が、気に入らないわね。自分が選んだ職業に、どうして、とやかくいわれなくてはならないのかしら。古代のポンペイ市では、娼婦は、議員の選挙を左右するほどの社会的名士だったのに。そうでなくても、職業で男に抱かれるのは堕落なんかじゃない。堕落というならば、貞淑な妻を気どっていて、金ももらわないのに、ほかの男と寝る女でしょうよ。それと、いったいなに?「天使のような清らかさ」というのは。人のどこをみて、そう思っているのかしら。娼婦は娼婦。堕落してもいなければ、清らかでもない』

アルマンも、これとそっくりの説教をマルグリットから浴びせられる。

この物語では、マルグリットは、アルマンの独りよがりな愛を受け入れてしまうのだが、現実はそれほどロマンチックなものではないはずだ。

ある風俗嬢によると、100人の客のなかには、二人くらい、風俗店に「愛」を探しにくる男がいるらしい。

そして、風俗嬢にとっては、その「恋愛探訪型」の男こそが、もっとも困った客なのだという。

彼らは、まず、彼女たちの事情をまったく理解しようとしない。

というより、そもそも理解するアタマがない。

彼女たちは、男が好きなのでも金の亡者なのでもなく、ごくシンプルに、けんめいに自分の暮らしを守っているにすぎない。

その職場に現れて、「ボクだけをみてくれ」とか、「ほかの客に好きな男がいるんだろ」とか、「どうして、店の外で会ってくれないんだ」とかやるのは、状況判断ゼロというほかはない。

この手の男は、相手の都合がまったくみえないという点で、かなりアブナい。


つまり、ストーカー予備軍である。

実際、風俗店の店内で愛を語る男は、閉店後に風俗嬢を待ち伏せしたり、 家まで尾行したりすることがあるという。


風俗嬢にホレる男(というか、ホレたと思っている男)をいちばんメーワクがっているのは、たとえばその男の奥さんなどではなく、当の風俗嬢なのである。

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